古くから電子機器の熱対策は技術者を悩ませてきました。特にプロセッサ関係は一生懸命頑張ると頑張った分発熱し、自分も周りの部品も暴走させてしまいます。
ノートパソコンも熱との戦いの側面があり、各社巧妙にファンを仕込んだりしていますが、設置の場所や環境によっては熱暴走を引き起こします。ATEM Mini無印は直接配信ができないのでOBSで配信・収録していたころにPCダウンを何度か経験しました。OBS配信しながら収録、ATEM MIniの操作、さらにYouTubeのモニターという作業をノートPC1台に外部モニターをつないでやってました。現在はそこまで負荷をかけることは少ないんですが、ノートPC用のスタンドを使用しています。
配信関連機器ではATEM Miniシリーズの熱暴走に皆さん苦労されているようですが私も複数回遭遇しました。
単純なスイッチングだけの時はなんともなかったのが、直配信や収録を同時に行うようになってから。電源の項でも書きましたが収録や配信で消費電力が増える、同時に発熱量が増えるということですね。
実際に遭遇した例は、操作していないのに配信とISO収録も停止し、パネルでもATEM Softwareでも開始できない状態でした。電源再投入しか回復方法が無く泣く泣く再起動しました。このとき本体の後ろコネクタ類の下側は触れないほど熱くなっていました。
ボールペン1本挟むだけでそこそこ改善されることもわかっていたんですが、高負荷長時間イベントも増えてきたので、どうせならと本格的に対策の検討を開始。松井 隆幸@ライブ配信が好きな人さんの記事や山岡敏夫さんの記事を参考にさせていただきました。
で、初号機がアルミアングルと12センチケースファンで作成したATEM Mini Pro用のもの。最初PC用のファンコントローラーをつないで使用していましたが、ファン騒音のため最小回転数でしか使用できないことと、4ファン用だったのでケーブルがぐちゃぐちゃになることがイヤで、USBの5V直結に改造しました。12ボルトファンの5V駆動でちょうどいい回転数。エアコンより静かで、比較的静かなイベントでも問題はなし。
その後ATEM Mini Extrem ISOを手に入れ、そのままでは使えないので幅広で弐号機を制作。これは今でも作業デスクで使用しています。
単純幅広化だったために冷却面積が少ないことと、現場でテーブルに配置した場合に後ろ側にケーブルがくるためモニターを横に置かなければならないことの両方を解決するために製作したのが参号機。
ファン2機を並列で接続しているのでファン回転数は半分になり、より静粛性を向上するとともに冷却面積を増大しています。そして液晶モニターがスイッチャーの上にくる配置。現場で占有する幅を少なくなるとともに、目線の移動を少なくすることができます。
初号機弐号機はアルミアングルによる構成でしたが、参号機はDIYショップで偶然見つけたG-Funを使用しています。アルミアングルよりしっかりしたつくりにできるのと組んだりバラしたりが6角レンチ1本でできるところが良いところ。ただ、パイプ自体は1mでも¥500程度と安価なので自分で切断できれば安価なんですが、一番使うコネクターが¥350ほど、組み上げるのに12個使用しても¥4,200でほかのパーツを加えると¥60,000を超えてしまうのが痛いところです。
そこで、コストダウンのためにG-Funのフレームとアルミアングルを組み合わせ、手持ちのビス等で簡素化してATEM Mini Pro用に作ったのが四号機。
アルミアングルの内幅(19mm)とG-Funアングルの太さ(18mm)のなかにファン(15mm)を収めた構成にし、参号機ではG-Funで作っていた部分を長めのビスに置き換えています。モニターの高さを参号機と揃えることで、複数台並べたときの視認性を確保しています。
実はこだわった点がもう一つ。収納可能な大きさです。配信業務の半数ほどはワンオペで、搬入搬出も一人で行うことが多くあります。駐車場から配信卓までの間を何度も往復するのはワンオペでは時間も体力も無駄に消費するので、台車1回で移動できるのが理想です。そのために使用しているのが採集コンテナとA4ファイルボックスの組み合わせです。このコンテナにファイルボックスが4つぴったり収まります。配信関連の機材は小さくていろんな種類がありますが、ファイルボックスで分類することで現場では重宝します。コンテナ3個と他の機材箱、三脚とスタンド類までを台車1回で運ぶことができます。このファイルボックスにうまく収まるというのが参号機のこだわりです。そのために一体ではなく平面なものを2つ組み合わせる形にしました。接触部分は置いてあるだけです。